香水レビュー:Le Labo(ル ラボ)
香水レビュー第二弾です!
第一弾はメゾン マルジェラのレプリカでした。
今回は Le Labo(ル ラボ)のレビューをしたいと思います。
初めましての方は是非『香水レビューについて』の投稿をお読みください。
なお本投稿はPR記事ではありません。
記事内のリンクもアフィリエイトではありません。
私の独断と偏見による純粋な感想となっております。
Le Laboは2006年に誕生したニューヨーク発のニッチフレグランスブランド。
鮮度と手作業を追求するスローパフューマリーだそうです。
メインとなる香りの素材名を冠した名前がそれぞれの香水につけられています。さらに名前の最後に番号がついているのですが、この番号は使われた素材の数なんだそう。
作られたサンプル数や、選ばれたサンプルの番号を香水の名前に使うブランドはいくつかありますが、このように素材の数が名前に含まれるのも面白いですよね。
そんなLe Laboですが、お値段はなかなかの高価格帯。(厳選された素材と、手作業でのメイドトゥオーダーという性質上、それは仕方のないことなのですが。)
個人的には勢いで買えるお値段では到底ないのですが、ありがたいことに実店または公式オンラインストアからミニサンプルを購入することができます!
ディスカバリーセットもありますが、単品で気になる商品のサンプルを購入することができるのがありがたい。
上の写真は私が現在持っているサンプル達ですが(フローラル系を中心に試しています)、一度に購入したのではなく、少しずつ買い足していたらいつの間にかこんな量になっておりました。
Fleur d'Oranger 27(フルール ドランジェ 27)
フルール ドランジェはオレンジブロッサムの香り。
満開の果樹園にいるようなお花いっぱいの香り。甘いフローラルながら軽やかさと爽やかさもあります。
虫が集まってきそうなくらい、とても自然なお花香りだと感じました。キラキラと透明感がある春夏向けの香りです。
ラストまであまり大きな変化はない分、面白みに欠けると思う人もいるかもしれません。逆に、オープニングの香りが好きな人にとっては最後まで落胆することなく同じような香りが続きます。
オレンジブロッサムやネロリは「石鹸ぽい」と評されることがありますが、こちらは石鹸や洗剤っぽさがあまりないお花の香りだと思います。
朝つけたらその日前向きになれそうな香りなのではないでしょうか。
これと次に紹介する香りの2つが、今のところLe Laboの中で私のお気に入り。
ただ、こちらのフルール ドランジェは春夏向けで秋冬(寒い季節)にはちょっとピンとこない香りかもしれないです。
もちろんどの季節につけるのかは個人の自由ですが、この香りを付けた時に気分がグッと上がるのは暖かい季節かなと思います。
Thé Noir 29(テ ノワール 29)
「Thé」は一見英語の「the」のように見えますが、よく見るとeの上にアクセント記号があります。
「thé」はフランス語でお茶の意味だそう。
「noir」は黒ですので、「thé noir」でブラックティー(紅茶)となります。
最初、「黒」という単語だけを見てヘビーで濃厚な香りなのかと思ったのですが、紅茶という意味なのだと知って納得。
甘ったるくないのに結構フルーティーな瞬間もあり、茶葉のすっきりした清潔感や清涼感が感じられる瞬間もあり。
公式の説明書きのとおり、多面性のある香りだと思います。
付けた瞬間はフィグがよく感じられました。クリーミーかつグリーンなフレッシュなフィグというよりは、よく熟した実という感じのフィグかなぁと。
奥行きがありながら重くなりすぎず、芳醇ながらクリーンさもある。そんな不思議な香り。
割としっかり目に香るので付け方や付ける場に気をつける必要ありかなと思います。ティーンよりは大人に似合う香り。昼よりは夜のお出かけ向き。そしてとても中性的。
ミドルからラストまでガラッと劇的に変化するというよりは、次第にソフトになっていく印象でした。
フルール ドランジェ 27と並んで個人的にお気に入りの香り。
Neroli 36(ネロリ36)
オレンジブロッサムの香り。フローラル系。
トップは柑橘のお花系と一緒にバニラのクリーミーな甘さが香ります。
オレンジブロッサムの香りがとても素敵ではあるんですが、私には全体的に少し甘すぎるかな?
若干洗剤っぽいと感じる人もいるかもしれません。
フルール ドランジェ 27もこちらのネロリ 36も両方ともオレンジブロッサム系の香り。ですので、一見似たような香りだと感じる方も多いと思います。
フルール ドランジェ 27は透明感のある花の蜜っぽい系統の香り、ネロリ36はクリーミーな印象。
私はクリーミー系やバニラ系をあまり得意としないため、フルール ドランジェ 27の方が好みでした。
逆に、フローラルかつまろやかな甘味が好きな人には、こちらのネロリ 36が向いているかもしれません。
Jasmin 17(ジャスミン 17)
ジャスミン、という名前なだけあってトップはまさにフローラル系といった感じの香り。
でもそこにプラスしてジャスミンティーのような香ばしさが少しあります。
バニラが入っているのでクリーミーな側面もあるのですが、オレンジなどの柑橘系のお陰でバニラに傾きすぎずバランスが良いと感じました。
一番最初(初夏)に試してみた時は、バニラが強すぎるかな〜という印象でした。が、このレビューを書くためにもう一度試してみたら、結構好きな香りかもしれない。気温の低い乾燥した時期だからでしょうか。
ジャスミンの香水って濃厚で妖艶なものも多いと思うんですが、こちらは甘いながらも軽快で明るさがあります。
そしてバニラ=ひたすら甘めという先入観しかなかったのですが、ジャスミン17は清潔感のある素敵な香りだと感じました。
ラストは香ばしさも取れ、より優しく円やかなフローラル+バニラとなりました。
Thé Matcha 26(マッチャ 26)
名前は「抹茶」ですが、抹茶の匂いはさほどしません。どちらかというとお線香のような香りに感じました。
嫌味のない、キツすぎない落ち着く香り。
個人的に特別好き!というわけではありませんでしたが、邪魔にならない使い勝手の良さそうな香りだと思います。
フィグの香りが主らしいですが甘さはさほどなく、ウッディな印象。
それも、荒々しい雄々しいウッディではなく、泥臭くもなく、質素ながらも綺麗に手入れされた心地よい日本家屋、のようなウッディさ。
気のせいかもしれませんが、最後は控えめな石けんのような香りに感じました。
Ambrette 9(アンブレット9)
アンブレットは、植物性由来のムスクの代替香料なのだそう(天然のムスクは動物性。)
こちらは軽めのフルーティーな香り。
私が試したル ラボの中では、一番軽い香りだと思いました。
肌に乗せるとトップはかなり洋梨っぽい。
良い香りだけどとても微か、持続性も低め。他人からはわからない程度に香らせたい時に最適だと思います。
ラストはムスクの香りになります。ムスクは苦手なものもあるのですが、こちらは軽いからか嫌味のないまろやかなムスクでした。
Rose 31(ローズ 31)
中性的なバラの香り。
伝統的なバラの香水とは違う、力強さを持った男性でも付けやすいバラ、というのがローズ 31のコンセプトだそうです。
トップからフローラルさとearthy(アーシー)・ウッディさがバランスよく混ざった香り。私の肌だとミドル以降はフローラルさが少しずつ気配を消し、徐々にウッディさが目立つ印象でした。
そしてラストは柔らかなムスク。
付けたては特にバラとウッディさが並立しているので、「今摘んできたバラ」という感じ。
それもバラの花びらだけではなく、茎も葉っぱも棘も含んだ、まだ土を落としていないバラ。
私は力強いウッディな香りが苦手なので、これは少し私には強すぎるかな〜。
でも革新的なこのバラの香りは香水界でもとても評判が良いそうです。
フェミニンすぎるバラは苦手、ウッディ系が好きという方は一度試してみる価値ありそうです。
Lys 41(リス 41)
ホワイトフローラル。南国の花園みたいな甘いお花いっぱいの香り。香り方はしっかりめだと思います。
私の肌ではリリーが強めに香りますが、同時にトップからクリーミーな気配があり、それが南国っぽさにつながっているのかも。
エレガントなフローラル好きな人向けの香り。バニラの甘さがあるので、春夏よりは秋冬向きかなと個人的には感じました。
ミドルからは香り方が柔らかになりました。
ネロリ36(オレンジブロッサム系)、ジャスミン17(ジャスミン系)、リス41(ユリ系)は、メインのお花にわずかな違いはあるもののどれも「クリーミー系フローラル」という類で割と似ているかもしれないです。
私個人は上の3つならジャスミンが軽やかな明るさがあって好みかな〜。
Ylang 49(イラン 49)
フローラルと南国の森林をミックスさせたような香り。
「花束を持って森の中を歩いているよう香り」という説明をどこかで見たのですがまさにそんな感じです!
森の香りは、クリーンでフレッシュな方ではなく、力強く土っぽさもあるウッディな感じ。(伝わりますか?)
重めの香りなので室内ではトップが強すぎるかも。つける人とTPOを選ぶ香りだと思います。
森林や土のような香りが入っている分、中性的なフローラルなのではないでしょうか。
爽やかな夏の日、屋外でつけるのに良いかもしれません。
私の肌だと、ラストではウッディな香りだけが残りました。私はいわゆる「男性的な」ウッディな香りをあまり得意としないので、自分ではつけない香りだと思います。
Baie 19(べ 19)
雨の香り、を表現した香りとのこと。
「Baie」はフランス語で「ベリー」という意味。
ですが、「ベ 19」のベリーは、ストロベリーやラズベリーのような甘酸っぱい香りではなく、ジュニパーベリーの香り。
ですので甘さはほぼありません。
中性的ですが、どちらかというとマスキュリン寄りかもしれません。
スプレーしてしばらくすると、徐々に雨の気配を感じさせる香りが立ちます。
とても良い意味でなんですが、個人的には墨汁を思い出す香りなんですよね。
お習字の墨の匂いって私結構好きなんですが、みなさんどうですか?
とても落ち着くクリーンな香りだと私は思っています。
これは夫のお気に入りの一つでした。
ここまでは世界中(店舗がある、もしくは公式オンラインが発送している地域なら)、いつでもどこでも購入することができる「クラシックコレクション」を紹介してきました。
ルラボには、「クラシックコレクション」に加え、「シティ エクスクルーシブ(City Exclusive)」というその都市でしか購入できない特別なコレクションがあります。
確かラインナップは全部で15。
それぞれ世界各国の都市をイメージして作られ、その都市でしか購入することができません。
ただ、毎年9月の間だけは世界中の店舗と公式オンラインにて「シティ エクスクルーシブ」コレクションを購入することができるようになっています。
そんな特別なコレクションから、2つほど紹介します。
Gaiac 10(ガイアック 10)
ガイアック 10は東京エクスクルーシブ。
普段は東京の店舗でしか購入することのできない香りです。(私は前述の通り、9月にオンラインで購入しました。)
これは夫が好きそうだと思って選んでみました。
「ガイアック 10」は東京の香りというよりも、
日本に住む人が付けやすい香り、という表現がぴったりな気がします。
東京の香り、と言われてもピンときませんしね。
香り自体はとても控えめ。
森林を思わせる香りですが、ワイルドで厳しい自然ではなく、ヒノキみたいな優しい穏やかな木の香り。
これを不快に思う日本人は少ないのではないでしょうか。
香り方が穏やかで控えめ。
香水っぽさがあまりない。
ヒノキみたいな心安らぐ香り。
人口密度と湿気が高く香害になりやすい条件が揃っている日本でも、かなり付けやすい香りだと思います。
お寺みたいなわかりやすい「和」の匂いではないけれど、
現代の日本人が好みやすい付けやすい香りという意味での「東京の香り」であるならば、とても上手いなぁと感嘆してしまいます。
世界の大都市と比べても東京ってとても綺麗でびっくりされるらしいですよね。
そういう意味でもこの清潔感たっぷりな香りは東京らしいと言えるかもしれません。
予想通り、これは夫がル ラボの中で断トツで気に入っている香りです。
Tubereuse 40(チュベローズ 40)
こちらはニューヨーク限定。
NYって未だ行ったことがないのであくまで想像なのですが、とにかくエキサイティングで夢を持った人が集まる大都市ですよね。
でも大きな夢を叶えられるのはほんの一握り。
多くの人がそれでも大都市の喧騒の中で一生懸命生きているはず。
そんな光が強いほど影も濃いであろう街を表現する香りはどんなものなのだろう。
と思ったのですが、ガツガツしておらず悪く言えば印象に残らない香りでちょっと意外。
でも東京の香りがわかりやすい「和風」ではないのと同じで、こちらもステレオタイプではないNYを表現しているのかもしれませんね。
NYに住んだことのある人から見て、この香りはどんな印象なんだろう?
つけてすぐは苦味のあるシトラスが香り、それがだんだんとグリーンを含んだ花の香りになり、少しずつ柔軟剤っぽい香りに変化していきました。
個人的にすごく好きな香りではなかったのですが、優しいフレッシュなフローラルなので、この香りを好きな人はとても多そうです。
シトラスとグリーンが入っており甘ったるくないので、甘すぎるのが苦手な人にも向いていると思います。
最後はややパウダリーなムスクとなりました。
少しずつ集めていたル ラボのサンプルたち。
気がつけばこんなにたくさん集まっていました。
私のお気に入りは、「フルール ドランジェ 27」と「テ ノワール 29」。
夫のお気に入りは、「ガイアック 10」と「べ 19」の2つ。
初めてル ラボのサンプルを嗅いでみた時、質の高そうな香りにびっくりしました。
もちろん私は専門家ではないのですが…
例えば、質の良いお料理を口にしたときに素材の味の濃さに驚いた経験はありませんか?
そんな感じで、ル ラボの香水は人工的ではない素材の香りがする!と感じました。
とてもシンプルなボトルも好み。
ぜひいつか、 ル ラボの香水をコレクションに加えたいと思っています。
Jan 25, 2023