紅葉色のHahnセーター
2018年に「I See Spring」というパターンのセーターを編んだ際、Finoという毛糸を使いました。
とっても肌触りが良いものができたので、その時からまた同じ糸(の色違い)でセーターを編みたいなぁと思っていたんです。
FinoはJulie Asselinというカナダはケベック発のブランドから出ている、メリノ75%、カシミア15%、シルク10%というブレンドの毛糸。そのブレンドから想像できる通りとっても柔らかいのと、シルクが入っているおかげで着ていても暑くなりすぎないのがポイント。
Finoの太さはFingeringという日本で言う中細程度。セーターを編むのにはちょっと時間がかかる細さですが、個人的には細めの糸で編んだセーターはもこもこし過ぎずスッキリ仕上がるのでとても好きです。
カナダの地元の毛糸屋さんの限定色が昨年販売され、私も思わず購入。
この限定色には「Fervent」という名前がついています。2021年に販売された限定コレクションの一つで、「Fervent」は紅葉の景色からインスパイアされた色合い。秋らしいオレンジブラウン色です。
とても気に入って手に入れた毛糸だったので、長く着られるものにしたいというのを目標にパターン探しをしました。
結果Shibui Knitsから出ている「Hahn」というセーター(プルオーバー)に決定。
「Hahn」は2種類の毛糸を一緒に編んでいく2本取りという方法で編まれています。パターン指定の糸は、1種類がシルク、メリノ、カシミア混紡の糸、もう一つがモヘアとシルクの混紡。
私が使ったFinoは、メリノ、カシミア、シルクと繊維の種類こそ割と似ているものの、入っている繊維の比率が指定糸とはだいぶ異なります。また、モヘアがあるとないのとでは、編み上がりにもだいぶ変化があります。
パターンに載っているサンプルとはだいぶ違った編み地になるだろうというのは踏まえた上で、まずはスワッチ(試し編み)から。ゲージもなんとかなりそうだったのと、編み上がりの感じも良さそうだったため、そのままセーターを編み始めました。
「Hahn」にはグラスステッチと呼ばれる模様編みが使われています。シンプルでそれほど目立たない地模様ですが、メリヤス編みと比べるとだいぶ表情が出るように思います。
実は指定糸で編まれたHahnの店頭サンプルを数年前に実際見たことがあるんです。その時のサンプルがいい意味で既製品のように見えるくらいお洒落で素敵で!その時からこの模様編み、試してみたかったんです。
その店頭サンプルは単色で編まれたものでした。私が今回使ったのは色がところどころまだらな手染め糸。その分「手作り感」は多少出るものの、シンプルなデザインのおかげで「手作りだけどスッキリしている」という雰囲気にまとまったと思います。
パターン:Shibui KnitsのHahn (Julie Hooverデザイン)(RavelryのHahnパターン)
毛糸:Julie AsselinのFinoベース(色はFervent。River City Yarnsのための2021年の限定色)4カセ
使用した針:2.75mm と3.00mm
変更した部分:
ネックバンド(襟ぐり)
パターンの写真やRavelryに載せられている写真を凝視してみたところ、出来上がりの襟ぐりが私の好みよりも広そう。そのため襟ぐりを編む際、数を少なめに拾い目しました。襟ぐりの一目ゴム編み部分の編み方も「Hahn」のパターンに載っていたものではなく、「Charles V-Neck」というJoji Locatelliさんのパターン(RavelryのCharles V-Neckパターン)を参考にして、幅広に変えました。これでだいぶ襟ぐりの開きを小さく出来ました。
裾部分
編み始める前に一応必要な糸は計算したつもりだったのですが…指定糸とはだいぶ種類が違うので計算が若干曖昧だったのでしょう。途中で毛糸が足りなくなりそう、もしくはギリギリ?ということに気がつき、前身頃を後ろ見頃よりも少し短く編みました。
そうすると当然前後の長さに差が出ます。それを自然な感じに仕上げるため、裾の一目ゴム編みの部分は縫い合わせず、スリットを入れた状態に仕上げました。身頃の丈に前後差がある場合はスリットがあった方がデザイン的に違和感が少ない気がします。
「Hahn」は普段私が好む、トップダウンでシームレスに編む(上から下に向かって編み、全部続けて編むのでとじはぎが不要な方法)タイプではありません。
前身頃、後ろ身頃、袖とそれぞれ別々に編み、編み上がったものを縫い合わせてセーターに仕上げる、という日本の編み物パターンではとても一般的な編み手順でこのセーターも編んでいきます。
どちらの編み方が好みかと聞かれれば、やはり私はトップダウン&シームレスタイプの方が編みやすく感じるのですが、「Hahn」はパーツごとに編む方が適しているなと実際編んでいて納得しました。
オーバーサイズでドロップショルダーというこのデザイン、ともすれば伸びて型崩れやすいんです。
そのため、各パーツごと編み終わるたびに伏せ目をし、さらにパーツ同士を綴じて縫い目を作り、伸縮しない部分を作ることによって型崩れ防止になるからです。
グラスステッチというこの地模様、とっても気に入りました。これ、日本ではなんという編み目なんでしょう?
滑り目と掛け目を組み合わせて作るので、慣れてしまえばとっても簡単。覚えやすいのですいすい編めます。
とはいえ、最後まで模様を入れ忘れたり位置を間違えることなく編めて自分でもびっくり。模様編みを入れる場合は数段ごとに必ず、間違いがないかサッとチェックするようにしてますが、戻って模様をやり直す部分がありませんでした。やった!
このグラスステッチ、テクスチャーがとても素敵でまた機会があれば使いたい模様です。
上の写真はスマホで撮影しました。ちょっと色が違って見えるのはそのためです。
4カセ(1カセ115g、370m)あれば十分だろうと思っていたのですが、編み終わってみたらかなりギリギリ。最初に編んだスワッチと、小さな毛糸玉、糸処理をして切った糸端、これだけしか残りませんでした。
編み終えたセーターを水通ししたら若干襟ぐりのゆとりが大きくなり…小さな毛糸玉をさらにほぼ使い切って、襟ぐりに2、3段編み足しました。
毛糸の種類によって差はもちろんありますが、特にカシミアやシルクは水通しをすると少しクタッとして伸びるというか大きくなることがあります。だから本番を編む前に、試し編みをしてさらにそのスワッチを水通しすることが大切!
サイズ感があまり関係ない小物とかは別ですが、セーターやカーディガンは本当にすることをお勧めします。水通しまでした上でゲージを確認するようにしましょう〜。
私は怠け者オブ怠け者、もしくは大雑把代表だと自分でも思うのですが、着るものを編むときはスワッチはちゃんと編みます。
オーバーサイズデザインなので、あまりゆとりを大きくしたくない方は1サイズ下げてもいいかも。
私はオーバーサイズのデザイン自体も好きですし、ゆとりがあって着やすいのも気に入っています。それでもあと1サイズ下げたとしてもまだ十分なゆとりがあったかもしれないな〜と思うほどゆったりなデザインです。
でも襟ぐりを指定より狭く仕上げた分、たっぷりした形でもだらしなくは見えないと思います。
そしてこの色、自分ではあまり持っていない色でとても新鮮で気に入りました!
テラコッタっぽい、オレンジブラウン。地味すぎず派手すぎず、絶妙。
黒い色が混ざっているのは写真でもお分かりいただけると思いますが、もっとよく見ると小さな赤もところどころに混ざっていてとても綺麗。
テラコッタって既製服では割と見かける色合いだと思うのですが、毛糸ではあまり無い色合いな気がします。かなり好きな色だということが今回わかったので、こんな感じの色の毛糸がこれから増えるといいな〜!
Mar 23, 2022