2023年出会えて良かったものたち

今年もあっっっというまにクリスマスですね。


昨年末、「今年出会えてよかったもの」というブログを書いたのですが、一年の振り返りとして私も書いていて楽しかったんです。

だから今年もと思い、年間を通してメモを取っていました。

にもかかわらず、今年は去年と比べてそのリストがあまり増えていかず…

2023年は、

  • 16年を一緒に過ごした愛犬との別れ

  • 身内の健康面での懸念(しかも複数人)

というのがやはり大きく。

介護の末、愛犬もみじが亡くなったのが6月末。

もみじが居た頃のことはよく覚えているんです。

「あぁ今年の1月のもみじはこんな感じだった。

2月はちょっと大変だった、3月は調子が良かった。」

という感じで。

でも7月以降のことをよく覚えていない。

もみじを亡くした直後の仕事のプロジェクトは大変だったなとか、ひっさびさに出かけたイベントが楽しかったなとか、ハロウィンもやっぱり楽しかったなとか、断片的に覚えていることはあるんですけれども。

今、2023年下半期を振り返ろうとしても、ぼんやりしているんです。

もみじは犬だけれど、私の人生でどんな人間よりも一緒に長く時間を過ごし、近くで私のことを見ててくれた相手。

そういう存在を亡くして、毎日を過ごすので日々精一杯だったなと振り返って思います。

そんな2023年でしたが、一応いくつか「今年出会えて良かったもの」リストにメモしたものがあるので、せっかくですしそれを紹介させてください。


星を継ぐもの

今年初めに読んだ本『巨人たちの星シリーズ』の第1作目、『星を継ぐもの』

近年読んだものの中で1番面白くて、興奮の嵐だった1冊でした。(でも身近に共感してくれる人がいなくてちょっと寂しい…)

シリーズ2・3作目もとても良かったのですが、やっぱりの第1作目、『星を継ぐもの』の印象がいちばん強く残っています。

この本に出会えたことで、「あぁやっぱり読書は楽しい。もっと新しい本に出会いたい」と読む意欲を掻き立てられました。


Fourth Wing

こちらも本。『The Empyrean』シリーズの第1作品目となります。

今、シリーズ第2作目を読んでいてもう少しで読了なのですが、2作目はあまりピンとこなかったかなぁ。だからシリーズ完走は個人的にはないかも。(また改めて感想を書きます。)


でも第1作目である『Fourth Wing』は私にとって、日本語の本を読むのとそう変わらない感覚でグイグイ読めた、初めての大人向けの長編英文小説でした。

実際のところは、まだまだ日本語を読むスピードの方が速いはずなのであくまでも「感覚的」な話ですが。


「英語を頑張って読んでいる」感覚から少し脱却し、「ただただ夢中で読み進めている」という感触だったのが嬉しくて。


新しい仕事

今年初めに仕事が新しくなりました。

もみじの介護をしながら新しい環境に飛び込むのは不安でしたが、周り(特に夫)の協力のおかげで馴染みつつあります。

職種自体は以前と似たような役割を担っているのですが、業種が全く違うんです。だから色々新しいことばかりで最初は戸惑いましたし、今でも緊張することが多いですが、とても勉強になることばかりで、飛び込んでみて良かったと思います。


TikTok

若い人には「いまさら?!」と言われそうですが、今年初めくらいからTikTokをよく見るようになりました。

私は投稿することはなく、完全観る専門。


TikTokって、今まで人気だったSNSを継承している部分もあり、新しい部分もあり、面白いなぁと。よくみんなこんなに面白いコンテンツを思いつくものだなぁと感心してます。観る方の見極めスキルと取捨選択は必要ですが、結構役に立つコンテンツも多くて興味深い。


アニメ系イベント

カナダでは、そこそこ大きな規模のアニメ関連イベントが毎年各地で開催されています。アニメだけではなく、ゲームやVTuberなど一般的に「オタク」と呼ばれがちなジャンルというのでしょうか。

そこまで詳しくはないし推しがいるわけでもないですが、結構そういう分野のものは好きなので、今年初めて私も遊びに行ってみました。

もみじが亡くなって割とすぐの時期だったので、気分を紛らわすためにも面白そうだと思ったことにはなるべく参加してみたいなと。

思った以上の大盛況でびっくり。

すごい人だったのに、運営が良いのか今までカナダで行ったどんなイベントよりも細やかなところにも気が配られていて、これまたびっくり。(夏場だったので給水器が頻繁に用意されていたり、コスプレ参加してる人たちが夜でも安全に帰れるような工夫がなされていたり、などなど)

オタク活動しているみなさんは普段から列に並びなれているのか、機材不具合等で時間が押しても文句を言うことなく静かに並んで待っていたし。

その列を整備するボランティアスタッフさんもたくさんいたし。

なんだか色々と快適でした。

参加者も販売している方々も、自分と同じ内向的な人が多そうだったのも個人的にはちょっと安心できるポイントでした。だから今まで行ったイベントの中でもダントツ居心地が良かった!

想像以上に楽しめたので、来年もまた行きたいなと思っています。隣の市でも大型のアニメイベントをしているようなので、そちらに行ってみるのも楽しそう。


リストに書き記したのはここまで。

でもこれを書いている途中、いくつか思いついたものがあったのでそちらも追加しておきます。


J-pop

そこそこ長い間B’zファンをしているので、日本の音楽自体はいつも聴いているんです。でもそのほとんどがB’z限定。

それ以外だったらクラシックロックとか一昔前に流行った曲ばかりで、日本の曲も欧米の曲も、ここ数年最新ヒットには全然馴染みがない状態でした。

別にそれも悪いことではないのですけれど。

慣れ親しんだものを楽しむのって、一種の癒し行為でもありますし。

でもここ最近、それだけじゃダメだなと思うこともあって。

音楽だけじゃなくいろんな面で。

たまには新しいものにも触れていかないと、脳が老いる一方だなと。

若作りがしたいわけじゃない。でも脳や気持ちだってなるべく若々しくいたいし、少しでも活性化させて更新して成長していっていけたらなぁと思っています。

だからこそ、最近は新しい本に出会えるのも楽しんでいるし。

よし、この調子で音楽だって今流行っているものや若い世代に支持されるものを聞いてみよう、と。

今の時代はApple MusicとかSpotifyとかのストリーミングサービスで、世界中の音楽を気軽に楽しめて本当に便利ですね。

それこそ私が留学生だった20年前とか、カナダに引っ越してきた15年くらい前とかは、そういうものが全然なくて。

iTunesはあったけれど、その時代はまだストリーミングではなくデジタル楽曲を買うシステムだったんです。そしてカナダのiTunesからは日本の楽曲は(おそらく法律の都合上)全くと言っていいくらい買えなかった。

だから日本に帰省した際にCDを買ったり、たまに日本の家族からCDを送ってもらったりすることでしか日本の音楽には触れられなかったのですよ。

それでだんだんと日本の新しい音楽から遠ざかってしまい、すでに購入済みで手元にあるものばかり聴いていました。

ストリーミングが一般に広まり始めた当初も、カナダのサービスから聞ける日本の曲って少なくて。

それが今は、海外からでも聞ける邦楽数が多い、というかおそらく若い世代に人気のミュージシャンの曲はほとんど海外からでも聴けるのではないかと思います。

同じように欧米圏の流行曲も最近は聴いているのですが、面白いことに「TikTokで聞いたことのある曲」が多いこと多いこと。

昔は、テレビの音楽番組やCDショップで新しい曲に出会うのが定番だったのに、今やSNSで最新の曲を知る時代になったのだなぁとしみじみ。

こんなこと書くと年寄りくさいんですが(ちなみに現在36歳でございます)、若い人が作る音楽ってエネルギーに満ち溢れていて、聞き手もパワーをもらえる気がします。歌も上手くて、曲作りの才能あふれる人たちばかりですごいなぁと素直に思います。


ジャズ

ポップ、ロックと共に好きなジャンルが、ジャズとクラシック。

どれも決して詳しいわけではないのですが、「好きだな」「心地いいな」と思えるものは大抵そのジャンルなのです。

コロナ禍以前はジャズクラブのような場所にも何度か足を運んでいました。(私が住んでいる地域にあるジャズクラブは、「クラブ」という名前から連想するような妖しげな?閉塞的な?雰囲気はありません。上演は夜なのでお客は大人ばかりですが、ワンドリンク制があるわけでもなく、アルコールなしでも大丈夫ですし、特別着飾るわけでもなく、みなさん音楽を楽しく聴きにきている、といった気楽な雰囲気。)

もみじの介護もなくなった下半期、数年ぶりにそんなジャズクラブへ行ってきました。

結果、ジャズって生の音楽を楽しめる素晴らしいジャンルだなぁと改めて思いました。

あらかじめ決められた演目から即興の演目まで、とても自由で観客との距離も近くて、ミュージシャンの皆さんが生き生きとしていて、演奏はもちろん素晴らしくて。

とっても良かったです。

聴いている私も気が付けばニコニコしていて、なんだか自分の心が満たされる感覚を味わえました。


少ないかな?と思ったけれど、こうして書き出してみるとそこそこありますね。

つい先日観に行った『ゴジラ-1.0』を加えてもいいかもしれない。

最近ハリウッド映画に食傷気味だったので、久々にいい映画を観た、と思った作品でした。

去年や今年上半期は、

「励まされたり癒されたりするもの」

を求めていたように思います。

だから、慣れ親しんだものに癒しを求めることも多かったなと。

でも下半期はどちらかというと、新しく刺激となり得るものを探していた気がします。

どんな深層心理が隠れているんでしょう?

動物と暮らすことに興味がない方から見たら大袈裟で珍妙なことかもしれませんが…

もみじを亡くしてから、アイデンティティクライシスのような状態になっていました。

「我が家には愛犬がいるんですよ」

って言えない自分って、じゃあ何?

という感覚。

そこに少し早めのミッドライフクライシスも混ざったような。

もみじがいない人生をこれからどうやって生きていけばいい?

という、漠然とした思いを夏〜秋頃は強く抱えていました。

でもずっと塞ぎ込んでいたわけではなくて、上記のような楽しいこともあって。

良いことも悪いことも悲しいことも含め、

もみじの介護や死別を通して、

新しい経験をし、新しい自分の感情と出会うことが多かった年でした。

それは、年齢を重ねてもまだまだ初めて経験する感情がたくさんあるのか、という不思議な感覚でした。


そしてそれは自分が生き続けていることの証拠で、36歳だけれどまだ心には伸び代があることの示唆でもあり、そのことに少し喜びを見出している自分もいます。

何よりも、最初から最期まで、そしてこれからも、

もみじが本当にたくさんのことを私に教えてくれて与えてくれたということが嬉しくて。

私ね、以前はもみじがいなくなったら何年かは次の犬を迎えるのは難しいかもしれないと思っていたんです。

でもすでにブログに何度か書いている通り、犬のいない人生が寂しすぎて寂しすぎて。

そんなに何年も待てない。

もちろん、もみじの代わりなんていないし、代わりにするつもりもないけれど。

真っ直ぐに愛情を注げる、愛でたおせる相手(犬)が欲しい。

一日中可愛いを飽きもせず連呼できる相手がいる人生の、なんて素晴らしいこと。

そしてそんな存在がいない人生のなんて味気ないこと。

そういうことをたくさん夫と話すんですが、

「いつももみじが一番って思ってたはずなのに薄情なのだろうか。

新しい子を迎えたらどんどんもみじを忘れていってしまうのだろうか。」

と打ち明けたことがあります。

そしたら、

「そんなことはない。

きっと新しい子を迎えたら、もみじと重ね合わせる部分もあるだろうし、もみじと暮らしたおかげで得た知識を使う機会もたくさんあるだろう。

そうやってもみじとの思い出がたくさん寄り添ってくれるようになるよ。」

と言ってくれました。

もみじが居てくれたから、今の私たちがいて、

その私たちだからこそできる愛情のかけ方があって。

そうやって続いていくのかもしれませんね。

悲しみや喪失の乗り越え方も、次の子を迎えるタイミングも、

ほんっとうに人それぞれで他人が口を出すことなんてできないのだなと身をもって知りました。

分かってたつもりなんだけど、経験してみないと分かり得ないことだらけだな、と。

そんなことの連続な1年でした。

最後に。

昨年末、

「ここ数年で一番気持ち的には大変なことが多かったかなぁ。」

と書きましたが、今年はそれを上回る年でした。

でも、世界を見渡せば、今まさに戦火の中にいる人たちがたくさんいるわけで。

そんな状況を思えば、暖かい家があって毎日ご飯を食べられる私はとても恵まれているのだと、心から思います。

来年は、みんなにとって少しでも平穏で安全で健康で幸せな年になりますように。

そして心を満たすたくさんの素晴らしいものに出会える年になりますように。

良いクリスマス、お年をお迎えください。

Dec 23, 2023

Previous
Previous

読書感想:『Iron Flame』

Next
Next

読書感想:『透明な夜の香り』