読書感想:『Fourth Wing』
ハロウィンも間近ですね。
去年、我が家の近所はトリックorトリートの子供達で大盛況だったため、今年も早々にチョコレートを用意して準備万端です。
ここ数日ぐっと冷え込んで雪も降ったのですが、当日はお天気良いといいなぁ。
今回の読書感想は、
『Fourth Wing』by Rebecca Yarros
という本です。
今ものすごく話題&大人気の本。北米で今年最も売れた本の一つだと思います。
2023年5月に発売となり、TikTokなどのSNSでもかなり話題に上がっています。
かくいう私もTikTokの影響を大いに受けて読んでみました。
結果から言うと、すっごくエンターテイメント性が高くて面白かった!
ジャンルはハイファンタジー。(ロマンタジー(ロマンス×ファンタジー)にも当てはまりそう)。
主人公は小柄で、生まれつき人一倍脆い体をもった若い女性ヴァイオレット。
軍の将官である母親を持ち、兄も姉も母親と同様に軍のエリートであるドラゴンライダー。
ヴァイオレット自身はずっと書記官になるべく努力していましたが、母親の絶対命令でドラゴンライダーの卵として軍学校へ入ることに。
それでなくとも訓練中に命を落とすことが珍しくない厳しい軍学校なのに、人よりも脆い体というハンデを背負ったヴァイオレットは常に死とは背中合わせ。おまけにドラゴンたちは「弱い」人間とは絆を育まないという…
身体は弱くとも誰よりも賢いヴァイオレットは策を練りながら窮地を切り抜けていきます。
領地の境では日々状況が悪化し、上官や国のブレーンが何か重大な隠し事をしている予感…
いっときも気を抜けない訓練の中、ヴァイオレットは無事卒業できるのか?ドラゴンライダーとなれるのか?
というのが公表されている範囲内でのあらすじ。(あ、あとロマンス要素もあります。)
剣と魔法のハイファンタジーもの大好物。ドラゴンも大好き。賢くて強い女性キャラクターも大好き。
恋愛小説はそんなに好まないのでその部分がどうかなーと思ったけど、一応メインではなくサブ要素なので大丈夫でした。(大丈夫だったけど、途中すごくとても写実的な描写があってびっくり。大人向けの英語の小説はまだあまり読んだことがないのですが、これってよくあるのでしょうか?)
主人公たちは20代前半〜半ばの年頃なので、主なターゲット層もそんな感じなのではないかなと。物語の舞台は戦時中のため死の描写はたくさん出てきますし、争いも登場します。性的な描写もあるので、子供やティーン向けではなく成人向けです。大人でも心配な方はコンテントワーニング(トリガーワーニング)の確認はしたほうがいいかと思います。
現代的な価値観で恋愛の話が書かれているのは好感が持てました。
自分の意思で恋愛をし、自分の体のことも未来も運命も自身で決められる主人公と、それを尊重する相手。
という感じで、大人な描写はありつつも精神的な意味では安心して読める恋愛要素なのではないかと思います。
読後に作者のインタビューを観たのですが、
「現代が舞台の小説で、敵から恋人へみたいな設定を書くのは苦手。だって大人同士なら尚更、敵対する前にちゃんと話し合って解決すればいいって思ってしまうから。
その点ファンタジーなら敵味方となる経緯について説得力のある設定を加えられるから比較的書きやすいかも。
恋愛の話でやみくもに付き合うまでを引っ張り続けたりするのも苦手。それもすれ違う前にコミュニケーション取ればいいのにと思ってしまうから。」
というようなことをおっしゃってて。
それを聞いて、この方が書く恋愛なら楽しんで読めるかも!と思いました。
私があまり恋愛ものを好まないのって
「ちゃんと話し合えばいいのに。一言伝えたら解決するのに。」
とモヤっとしてしまいがちだからなんです。
でもこういう考え方を持った作者さんの書く恋愛ストーリーなら楽しめそう。
それ以外の要素の感想に関しては、ファンタジー作品をたっくさん読み込んできた人にとって物足りないというか、ちょっと幼い部分があるという他の方の意見がみられましたが、なんとなく理解できる気がします。
その一つが言葉遣い。ハイファンタジーにありがちな難しい硬い言葉遣いではなく、砕けた現代的な言葉使いなんです。それがダメな人も多かったようですが、ファンタジー慣れしていない人、そもそも本をあまり読まない人でも楽しめるように、とあえて現代的にしてあるのだそうです。
そのおかげで、英語が第二言語である私でも割とすんなり読めました。500ページ以上のボリュームのある作品ですが、かなりのめり込んで読み進めました。
日本語で読むのに比べ、英語で読むのはペースも遅いしのめり込み度も低かったのですが、この作品は夢中で読むことができて嬉しかったです。
他には、物語の矛盾や話の焼き増し感などを挙げている人もいました。
確かに、欠点なしの完璧な傑作かと聞かれたらそうではないのかもしれません。
でもエンターテイメント性はとても高かったと思います。
それにシリーズ1作目ですから最初は物語の導入部分。これからもっと物語も世界観も登場人物たちも構築されていく楽しみがあると思います。
序盤の出だしがスローに感じられたり、中弛みしてしまう小説もありますが、この本は最初から最後までグイグイ引き込まれました。
わかりやすい言葉使いと一貫して続く疾走感が相まって、本当に読みやすい!
普段あまり本を読まない人や私のように英語が第一言語ではない人にとっても親切設計という、その読みやすさを私は推したいと思います。
そしてドラゴンたちも私の大のお気に入りポイント!
人間のキャラクター以上に魅力的だったかもしれない。基本かっこいいドラゴンが多い中、ひとり(一匹?一頭?)ものすごく可愛い子がいるんです。その子が登場するたびにニマニマしてしまう。
ネタバレになってしまうので詳しく書けないのが残念ですが、ドラゴンたちにはワクワクさせられっぱなしでした。
『Fourth Wing』はThe Empyreanシリーズの第1作品目。
第2作品目は11月に発売になります。
噂によるとシリーズは全部で5作品で完結になるのだとか。
5冊は多いな〜!最後までついていけるかな?(本でもTVシリーズとかでも、作品が長いと途中で飽きてリタイアしてしまいがち。)
とりあえず2冊目は読む予定ですが、それ以降は未定。シリーズ最後まで楽しめるといいなぁ。
それにしても、世間で話題になってる本を読むのってそれ自体にエンターテイメント性がありますね。TikTokでも(本好きの人が集まる界隈をBookTokと名付けて楽しんでいる読書家が多数)、Fourth Wingの話題がたっくさん出てきますし、関連ミームとかもあって、コミュニティを楽しむという要素もあるんだなぁと新発見。
2作目の発売まで1ヶ月を切り、ますます盛り上がっています。
この作品は私にとって、
日本語の本を読むのと同等にのめり込んで夢中で読めた英語の本。
そういう意味でも思い出深い1冊となりそうです。
Oct 24, 2023