読書感想:『二分間の冒険』とポアロシリーズ

皆さんこんにちは。カナダ時間では今日が4月1日。

日本では今月から新生活を始める方も多いのではないでしょうか。(カナダの学校は9月始めで、卒業シーズンは6月。)

ずっとやってきたことを終えたり、新しいことを始めたりするのは勇気と勢いが要りますね。

勢いがあるうちはとことん突き進むのもあり。

ちょっと立ち止まって休むのもあり。

ありきたりな言葉ですが、それぞれのペースで適度に力を抜きながら進んでいきましょう。

時々アンパンマンを召喚して「なにが自分の幸せ?なにをして喜ぶ?」と確認しながら、ね。


さて、エルデンリングのことも書きたいなと思いつつ、なかなかそこまで手が回っておりません。

早く書かないとどんどん最初の頃のことを忘れてしまう〜!


と言いつつ今日は3月に読んだ本の紹介です。

今年は読書量を増やしたいと思ってから丸3ヶ月ほど。3日坊主は免れましたが、3ヶ月坊主にならないようこれからも続けていけたらいいな。

今月の本は、

『二分間の冒険』岡田 淳 作

『オリエント急行の殺人』アガサ・クリスティ作

『ナイルに死す』上に同じ

です。今月は偶然全て電子書籍でした。

『二分間の冒険』岡田 淳 作 

子供の頃に読み逃した(もしくは読んだことがあるけどすっかり内容を忘れてしまった)ファンタジー作品の履修・再履修をしようキャンペーンを勝手に一人でやっているのですが、これもその一つです。


主人公は6年生の悟。

小学校上級むけの作品です。

とあるレビューでこの本について、「剣と魔法」への入り口的な作品という評価を目にしました。

まさにそんな感じかも知れません。

小学生の普通の日常から始まり、ファンタジーの世界へ移ってからも登場する人物たちがみんな実在しそうな人たちばかり。だからファンタジーものを読み慣れていないお子さんでも入って行きやすそうな気がします。


同時に、絶対この世界では起こらないようなことも起こるし、

ファンタジーには欠かせない要素である剣や魔法についてのお話もちゃんとあります。


子供向けですからもちろん残虐な描写はないのですが、

お子さんが読んでも大丈夫な範囲で、生きていく喜びや明日への希望を奪ってしまうような残酷さとはなんなのか、

というようなことにも触れています。


ちょうど夫が出張中に一人で寝る前に読んでいたので、いい歳なのにちょっとドキッとしてしまうこともありました(歳と共にどんどん怖がりになっている気がします)。

生きる希望を奪われただ日々が過ぎていくだけの老人の描写、が妙にリアルで怖くて。

でもこれって大人だからこそ恐ろしく感じるシーンなのかも知れないですね。


全体的にお子さんにとっては怖いというよりもドキドキワクワクハラハラという感じだと思います。


「この世で一番確かなもの」とは一体なんなのか。

それを考えながら読み進めることになると思いますが、終盤になると予想できる人は結構いるんじゃないかと思います。

でも実生活できちんとそのことを実感しながら生きていける人は果たしてどのくらいいるのでしょう。


『オリエント急行の殺人』『ナイルに死す』アガサ・クリスティ作

小学生〜中学生の頃が一番本を読んでいた年頃だったのですが、当時特に好きだったのが推理小説でした。

原点に返って、有名推理小説をまた読み直しています。

と言っても、もう昔々のことなのでなにを読んだのかはっきり覚えておらず。

アガサ・クリスティ作品の中でもこの二つは特に有名ですが、読んだことあったかな?『そして誰もいなくなった』は読んだ記憶がちゃんとあるのですが。

ところで、海外に住んでいる日本人あるあるなのかも知れませんが…

誰からともなく読み終わった日本語の本を貸し借りしているうちに、本たちが少しずつどこかに集まっていくらしく。

それを全て読み終わった人が次の日本人にバトンタッチ。さらに次の人へ、と移動図書というかリレーのようにいろんな人の手に渡っていくんです。

「読み終わったら返さなくていいから他の誰かに渡して〜」っていうような感じで。

「これ元は誰の本なの?」って聞いても誰もそれを知らなくって。

そういう経緯で私のところにもどさっと日本の本が渡ってきたことがあるんです。(そして読んだ後私も別の友人へ渡しました。)

ミステリーやサスペンスを銘打った本もいくつかあって、ウキウキしながら読んだのですがものすごい消化不良な本がいくつかあったんですよ。

そこで私は初めて気がついたんです。

自分が好きなのは単にサスペンスや奇怪なことが出てくるお話じゃなく、名探偵が出てくる推理小説なのだ!と。

実はそれ以前は、ミステリーと名のつくものには探偵役が当然出てくるのだと思っていたし、サスペンスだってきっと最後には納得する落とし所があるのだろうと勝手に思っていたんです。

確かにミステリー小説=推理小説なこともありますが、「怪奇なことが起こる」からミステリー(ただそれが解決するとは限らない)ということもあるんだなと。サスペンスも同じく。ハラハラする心理状態が続いた後モヤっと終わる本もあるんですね。

私バッドエンドやモヤモヤエンドは苦手なんです。

だからきっちり全部解決してくれる探偵役が出てくる推理小説が好きなのだとこの時改めてわかりました。

推理小説ファンの中には、結末を読むより先に自分で推理して謎を解きたいという人もきっと多いでしょう。

私は全然。

探偵が鮮やかに謎を解く様子が好き。

どうやってそこに辿り着くのかを読んでいるのがワクワクする。

だから古畑任三郎スタイルな倒叙物も好きです。

長い前置きとなりましたが、アガサ・クリスティ作品のポアロは私が説明するまでもなく、そんな名探偵。

どちらもとっても楽しく読みました。続きが気になって夜更かししちゃった。

だってポアロが「私には全てわかっているのです」とか言うから、ついついページをめくってしまうよね。

『オリエント急行の殺人』は割と最近、2017年の映画を観たことがあるにもかかわらず、内容をすっかり忘れていました。だから本を読んで結末にきっちりびっくりしました。

『ナイルに死す』も映画が公開になったばかりですね。本を読んだのでこれでいつでも観られます。

『ナイルに死す』って日本語の題名、お見事じゃないですか?

ナイル川での死とかだったら直訳すぎますもんね。ナイルに死す、原題に忠実でありながら文学的ですごいなぁと。

こっちも結末でえぇ〜〜ってなりました。(私が単純すぎる?)

アガサ・クリスティすごいなぁ。

どちらの作品も登場人物がそれなりの数いますし、それぞれ何をしている人なのかとかある程度認識しておかないと話についていけないので、登場人物のページはブックマークしながら読みました。

どちらも1930年代に発表された作品。

ですので、ステレオタイプな描写がところどころに見受けられます。

女性は契約書を読めないだとか、感情的な犯行をするのは女性だとか。

イタリア人は短気だの、東洋では死が身近だ、だの。

女性に関するものはアガサ・クリスティからのステレオタイプに対する皮肉というか風刺なのかなぁとも思ったり。

だってあの時代は今以上に、おそらく彼女自身もきっと数えきれないほど「女には〜〜できない」って言われていたんじゃないかな。だからこそそういう世間に対する皮肉なんじゃないかと。

人種に関するステレオタイプももしかしたらそうかも知れないですね。

アガサ・クリスティは考古学者の夫と共にたくさん旅をしたそうですし。

元の英語ではどんなふうに表現されていたのか知りたくて、是非とも英語版も読んでみたくなりました。

アガサ・クリスティはイギリスの作家ですが、ポアロがベルギー人でフランス語を話すと言うのも興味深い。

今回読んだ2作は、殺人こそ起こりますがグロい系の表現はありませんでした。ショッキングな言葉や派手な描写で興味を惹きつけるのではなく、登場人物の背景や心の動き、揺れ動く人間関係などを少しずつ描きながら真実を明らかにしていくスタイルの推理小説です。

ポアロは(どの探偵にも大抵当てはまることですが)職業柄こういう事態に遭遇することに慣れきっていて、そのことで感情を乱すことはほとんどありません。その分、探偵ってのもある意味サイコパス寄りの精神力だよなぁと思ってしまいましたが、『ナイルに死す』では人に寄り添ったり心配する姿がより多く見られてちょっと安心しました。

そしてこの2冊を読んで思ったのは、ポアロは「犯人を逮捕する探偵」ではなく「事件を解決する探偵」だということ。

この考え方は、はやみねかおる作「夢水清志郎シリーズ」からの受け売り。

犯人を逮捕することと、みんなが幸せになれるよう事件を解決することは同じではない。

前者は警察の仕事、後者こそが名探偵の仕事であるというのが名探偵夢水清志郎のモットーです。

少なくともこの2作品のポアロの行動は後者寄りだったように思いますが、探偵になる前のポアロはベルギーの警察で活躍していたというのもまた興味深いですね。

『メソポタミヤの殺人』やジェーン・マープルシリーズも読みたい!

今月は日本語の本が3冊。

4月は英語の本から読み始めようと思います。

日本語でも英語でも、おすすめの推理小説やファンタジー作品がありましたらぜひ教えてください!


Apr 1, 2022

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