読書感想:『十角館の殺人』

例えばクラシックやジャズなどの音楽や、古代エジプト・ギリシャなどの歴史など。

推理小説もそのうちの一つ。

小学生の頃から推理小説は好きな本のジャンルだという自覚がありながらも、詳しくはないんです。

といいますか読書そのものが好きなのに、ジャンル関わらず小説家さんに関する知識がそもそも少なすぎる気がします。

子供の頃は市立図書館に通い、その図書館に蔵書されている児童向けの推理小説をいくつも読みました。

あまり大きくはない図書館の児童向け推理小説のコーナーはささやかなもので、そこにあるものはほとんど読んだかもしれません。

その後シャーロック・ホームズシリーズや怪盗二十面相、モルグ街の殺人、黒猫なんかを興味津々で読んだ記憶があります。

特にシャーロック・ホームズは大好きなシリーズでした。

部活や受験勉強に忙しくなる中高校以降は少しずつ読書から離れてしまい、大人になってからは全くと言っていいほど推理小説を読む機会がありませんでした。

20代に入ってすぐカナダに引っ越したというのもあり、日本の(大人向け)推理小説に触れてこなかった分、これから少しずつ読みたいなと思っています。

電子書籍という海外在住者にとってありがたいものがあるのに、残念なことに海外からは日本のアマゾンで電子書籍を購入することができないんです。

数冊なら大丈夫とか、しばらく問題なく買えていたという意見もネットで目にしましたが、基本は購入不可のようです。(最後に私がそのあたりについて調べたのはしばらく前なので、現時点での規制がどうなっているのかはわかりませんが。)

おそらく関税や著作権の問題なんでしょうけど、電子書籍にしろ、音楽や映画作品などのサブスクにしろ、こんなに簡単に海を越えられるテクノロジーがあるんですから、その辺の法律も早く追いついてほしいなぁと願うばかりです。

ただ日本に滞在中ならば問題なく購入できるので、私は今のところ日本帰省中にまとめて電子書籍を購入することにしています。コロナの影響もあり3年ほど帰れておりませんが、前回の帰省中に購入した本たちが実はほとんど未読なので、今年はそれで凌いでおります。

6月に読んだ本も、そんな電子版積読状態だった本の中の1冊。

 
 

『十角館の殺人』綾辻行人 作


綾辻行人さん、知識が少ない私でも名前だけは存じております。

『十角館の殺人』は綾辻さんのデビュー作品だそうで、1987年発刊だそうです。


今年35歳になった私は発刊年と同じ、1987年生まれ。

昭和は1989年1月7日までですから、私の世代は昭和生まれ平成育ちとなります。

一昔前の作品ってどうしても今読むと、作中の会話が妙に昭和っぽくて不自然と感じてしまうこともあるのですが、この作品は個人的には大丈夫でした。


ただ喫煙者が多かったのと「台所作業は女性の仕事」という描写が多かったのは、やはり昭和だなと思いました。

私よりもっと若い世代の方にとっては結構なジェネレーションギャップではないのでしょうか。

私自身タバコは一切吸いませんし、自分の大学生時代を考えても周りに吸う人は全然いなかったので、フィクションだからそうなのか、はたまた昭和の大学生は本当にタバコを吸う人があんなに多かったのか、読んでいてちょっと気になるところではありました。

大学の友人同士で旅行しているのに、男性陣が食事や飲み物の準備を手伝う素振りを全く見せず、当然のように女性が面倒見るものであるというのも時代だなと。

作中でも女性キャラクターたちはその辺りについてちょっと愚痴ってはいましたが。


と時代の違いについてはこのくらいにして、肝心のお話はというと。


とっても面白かったです。

推理小説の感想って、他のジャンルの小説よりもさらにネタバレに気をつけないといけないじゃないですか。

どんな些細なことがヒントになってしまうかわかりませんし。


だから面白かったのかそうでなかったのかくらいしか書けない…

Amazonのレビューなんかを見ると、辛辣な感想もいくつか見受けられました。

推理小説が好きだからこそ情熱の裏返しなのか、割とみんな厳しい。

でも私は一気に読んでしまったくらい楽しめました。

私は、

「じっくり何度も読み直して結末に辿り着く前に犯人を導き出したい!」

というタイプではないので、単純に楽しんで読める人なのかもしれません。

それなりに注意深く読んでいるつもりではありますが、基本的には話の流れや名探偵の活躍を楽しみたいタイプです。

推理小説って、トリックや話の進め方の形式など、種類や型にある程度の限度があると思っています。

だからものすごい量の推理小説を既に読んでいる人にとっては、

「どこかで見たことのあるトリック」

という感想が出てきやすいのかもと思います。(実際そのようなレビューを見かけました。)

逆に、これが初めて読んだ推理小説だったのならきっと結末にびっくりすることでしょう。

そんな感じで、これまで何をどのくらい読んできたかによって印象が変わるのかもしれません。

日常的な場所で起こるお話も面白いですが、この作品のような「島にある館」という王道推理小説な舞台って私は好きです。

大人になるにつれ、フィクションといえど誰かが傷ついたり亡くなったりする話は読んでいて辛くなりがちなんですよね。

だから思い切り非日常なフィルターがかかった方が、その分話に没入しやすい気がします。


今後、日本の作家さんの推理小説やファンタジーもの(児童書だけでなく大人向け)も積極的に読んでいこうと思っています。

おすすめの作家さんがおりましたら是非教えてください。

Jul 2, 2022

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