読書感想:『泣きたい夜の甘味処』と『もぐの夜』

読書本のコーナーは基本小説だけにするはずでしたが、今回はコミック。

どちらもとても素敵で、どうしても紹介したくて!

『泣きたい夜の甘味処』中山有香里 著

『もぐの夜』こやまこいこ 著

どちらもSNSを通して知った本。

手元に届いて、2冊とも美しい装丁にうっとり。


『泣きたい夜の甘味処』中山有香里 著

この表紙の深く優しい色合いや繊細な線、もうこれだけで泣くこと必須な気配がします。(実際めちゃくちゃ泣きました。)

食べ物を軸に話が進むのも好きだし、登場する人物の心情もきちんと描かれています。

ショートストーリーなのにこれだけ人の心の機微を伝えられるのってすごい。


その時感じた匂いや温度、食感とかって思い出と共に深く刻まれるものだと思います。

優しい思い出が詰まったものはその後の人生できっとその人を支えてくれるものだとも思うし。

タイトル通り、泣きたい、泣かなきゃやっていけない、それなのに感情を抑え込んでしまうしかない、そんな人たちがたくさん登場します。

そんな人たちが、熊と鮭が営む甘味処へ誘われるように入っていく。

(熊と鮭というチョイスが個性的で面白い。)

甘味を口にすることがきっかけで、固くなっていた感情がほどけて思わず泣いてしまう。

そんな姿を見て私も泣きっぱなし。

でもそういうのって大事ですよね。

泣くことでスッキリしたり前を向けたりすることも多々。

私も熊と鮭が美味しい甘味を出してくれるお店に行ってみたいなぁ。


『もぐの夜』こやまこいこ 著

こやまこいこさんは元々SNSをフォローしていました。

そこでこの本が発売になることを知り、早速購入。

この本、めちゃくちゃ可愛いです!

こちらもイラストショートストーリーみたいな感じ。

登場人物もお話も、本の装丁もイラストも隅から隅までかわいい。癒される可愛さ。


主人公の「もぐ」ちゃんはぬいぐるみやバッグを手作りして売って暮らしている妖精。

その設定にまずとても惹かれました。

でも「妖精」と聞いてまず思い浮かべるような妖精とはちょっと違うんです。

ヒラヒラのドレスを纏って歌いながらお花の周りを飛び交っているような妖精ではなく、人間と同じような日常生活を過ごすもぐちゃん。

ダラダラもするし、夜更かしもするし、ゲームもするし、失敗したり迷ったりもする。

そんなファンタジーと現実の混ざり具合も心地よくて、すごくすんなり読めます。


リラックスして読めるショートストーリーですが、最後の方はちょっとうるっときちゃいました。(ネタバレしたくないのでこれ以上書けないのがもどかしい。)


もぐちゃんの作るぬいぐるみ、出会いたいなぁ。


どちらもとても素敵な作品で、購入して本当に良かったです。

この2冊は私のこれからの中で、「今日ちょっと元気でないな」とか「今日は可愛いものに触れる必要がある気分の日だ」っていう時にきっと必要になるはず。

何度も何度も繰り返し読みたい作品に出会えるのって貴重なこと。

ワクワクしたい気分の時

号泣して色んなものを洗い流したい時

とにかく優しいものに触れたい時

可愛いもので満たされたい時

ハラハラドキドキする旅に出たい時

自分の知らないものに出会いたい時

今自分がどんなものを求めているのか知ることは、自分の心のバランスを保つ助けになると思います。

色んな気分に対応できる本棚を持っている人はきっと幸せ。

この2冊を自分の本棚に加えられて良かったな。

Mar 3, 2022

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