読書感想:『One Dark Window』

日本は今年も猛暑と聞きますが、皆さまいかがお過ごしでしょうか。

ここ1週間くらいはカナダ(の私が住む地域)も一気に暑くなりました。

まだまだ夏も始まったばかり。皆さまどうぞご自愛ください。


今回ご紹介する本は。

『One Dark Window』 Rachel Gillig 作(2022年発行)

 
 

とても好みの本でした!面白かったしグイグイ読めました!

そんなに長くないし、テンポもよく、かといって詰め込みすぎな感じもなく、読み易い一冊だと思います。

それゆえ、YA(ヤングアダルト・ティーン向け)っぽい感じも少ししますが、本の中で扱われているテーマとか描写とかを考えると対象は大人だと思います。

本作はゴシックファンタジーである、というのに惹かれて選んだのですが、よくよく考えるとゴシック小説の定義を知らなかったので一旦検索。

ゴシックといえば建築様式、もしくはゴスロリなどを含むゴシックファッションをまず私は思い浮かべます。

そのほかにもゴシック美術や、哲学や神学などでゴシック精神という概念があったり、ポップカルチャーにおいても広く使われており、ゴシックという言葉がそもそも多義的で曖昧なものだそうです。

ゴシック小説のモチーフは、怪奇現象、宿命、古城、廃墟、幽霊などがあるそう。

有名なものだと、『吸血鬼ドラキュラ』、『フランケンシュタイン』、『ジキル博士とハイド氏』などが挙げられるそうです。

なるほど〜。

そのルールでいくと、この『One Dark Window』はまさにゴシックファンタジー。

全体的に暗く薄気味悪い雰囲気が漂っており、古城も廃墟も幽霊もモンスターも出てくる!

でもホラーな雰囲気はほとんどなく、魔法も出てくるしファンタジー色の方が強め。

公式に出ているあらすじは、

「霧に覆われ孤立した王国に住む女性、Elspeth(エルスペス)。

この王国でエルスペスが生きていくためには、モンスターの手助けが必要だ。

彼女はそのモンスターをナイトメアと呼ぶ。古くて、敏活な彼はエルスペスの頭の中に住み、彼女を守り秘密を保持している…

でもタダで手に入るものなど存在しない、特に魔法は。

森の道で謎の追い剥ぎ(ハイウェイマン)と出会った時に、彼女の人生は劇的な展開を始める。

影と欺瞞の世界に放り込まれた彼女は、王国に伝染した闇の魔法を治すため、危険な冒険に参加する。

しかし行動を共にし始めたハイウェイマンにもとある大きな秘密が…」

というような感じ。

作品に登場する魔法のシステムがユニークだというレビューがいくつかあったので、楽しみにしていました。

評判通り、今まで見たことがないタイプの魔法のシステム!

お話の進み方自体は定番っぽいところもあったんですが、魔法のシステムや世界観などのユニークさとのバランスも相まって、ありきたりすぎずかといって難解すぎず、ちょうどいいバランスだと感じました。

王国の歴史や秘密、ナイトメアの正体など気になる謎もたくさん。

主人公エルスペスと、主役もしくは準主役のキャラクターたちの描かれ方も好みでした。

みんな魅力的だし、みんなのこれからの行方が気になる。

感情の描かれ方も言葉を詰め込みすぎず、読み手が想像する余地があるのが心地よかった気がします。

(キャラクターが頭の中で考えていることを一字一句全て網羅する勢いなナラティブの本も存在するので、そういうものと比べたら、若干あっさり寄りなのかも。)

建物や世界観に関する風景描写も、重要な雰囲気が伝わる程度、に抑えてある感じ。

このくらいの描写量が自分にはあっているな〜と思います。

ノンストレスでどんどん読めたのも、そういう部分が自分とあっていたからなのではないかなと。

ストーリーの主軸は王国の秘密に迫り、蔓延る闇の魔法と暴君的な王から王国を解放すること。そこに恋愛ストーリーも少し絡んでくるのですが、恋愛の描かれ方も私が好きな感じで、メインストーリーを邪魔しないどころか、ますます面白くしてくれている!

自分の好みにカチッとハマる恋愛要素ってあまりないのでこれは嬉しい。

「好きな本」の種類にもいろいろあると思うんです。

とにかく好きなキャラクターがいる、とか

ストーリーが面白い、とか。

この作品を読んでいて、「ストレスに感じる部分がない」というのも大きな理由の一つだな、と思いました。

長さ、テンポ、描写の仕方や量、ストーリー、キャラクター、いろんな要素において自分と合っていたようで、純粋に「楽しい、面白い」だけを感じながら読んだ1冊でした。

『One Dark Window』は『The Shepherd King』シリーズの第1作目。

デュオロジー(二部作)なので、シリーズ自体がコンパクト。

小説にしろテレビシリーズにしろ、あんまり長いと追うのが大変なので(途中で飽きるか面倒くさくなってしまう)、2〜3部作で綺麗にまとめられているくらいが個人的にはちょうどいい。

『One Dark Window』 はなかなかなクリフハンガー(あえていいところで終わっている、ちょうど気になるところで終わっている作品)なので、読み終えてすぐに第2作目も購入。

続編は『Two Twisted Crowns』。

こちらも今のところとっても面白いです。

Jul 11, 2024

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