読書感想:『The Chronicles of Narnia: The Silver Chair』
9月に突入しましたね。
あっという間に年末を迎えるんだろうなぁ。
8月末に引っ越しをしたこともあって、7月後半から8月にかけてはいつも以上に慌ただしく過ぎていきました。
同時に、少しずつ積み上がっていく段ボール箱と暮らすのにだんだんうんざりしてきて、やっと新居で荷解きできるのが嬉しい。
早く片付けて通常に戻りたいものです。
カナダに移住してからずっと、ハロウィンのトリックオアトリートの子供たちが訪ねてこない場所に住んでいたのですが、新居にはおそらくたくさん訪ねてくるはず!
秋が楽しみだな〜。
そんなこんなで、8月に読んだ本。
早々に裁縫道具などを片付けてしまったので、前月より読書が捗った月だったかも。
『ナルニア国ものがたり』シリーズの4作目(出版順)となる、『銀のいす』です。
先月とある理由から、『ナルニア国ものがたり』シリーズを完走できるかどうかわからない。
とういうようなことを書きました。
それでも『銀のいす』まではとりあえず読もうと決めておりました。
シリーズ最初の3作は映画化されており、映像からの情報や先入観がある状態で読んだ作品たち。
今回の『銀のいす』はそんな予備知識が全くない状態で読む作品。どんな風に感じるのかとても気になっていたんです。
結果、今回が一番スルスルと読めました!
最初の3作は話の展開や結末を知っているので、その分細かなことが気になったり余計なことを考えながら読んでしまうことが多かったように思います。
今回の『銀のいす』は、最中余計なことは考えず、続きが気になって仕方ない!早く読みたい!という気分のまま読み終えることができました。
空腹に勝る調味料なし
とでも言うのでしょうか。
こういう作品を読む上で、
「続きが知りたい」
という衝動は何よりも大事なのかもしれません。
今作品は、冒険物語として一番(もしくは1作目と同じくらい)読みやすい構成なのではと個人的に感じました。
2作目と3作目は主な登場人物が多かったり、視点が変わったりすることもありましたが、
今作品は「誰が誰だっけ?」「今どこにいるんだっけ?」などと混乱する場面は非常に少ないんじゃないかと思います。
主人公の子供二人の関係もよかったですし、新登場の泥足にがえもん(原作での名前はPuddleglum)さんがとても良いキャラをしていました。
にがえもんさんは、悲観主義者だからこそ簡単には目の前の餌には誘惑されず、己の中にあるものを信じ抜けたのかなぁ。
敵の目的とか、行動理由とか、もっと掘り下げて欲しかったな、知りたかったな、という部分はありましたが、それでも楽しんで読めました。
『銀のいす』は人の精神(ひいては信仰心)について描かれた作品だと受け止めました。
目の前にある快適さに心奪われ、もっと先にある大事な使命をすぐに忘れてしまったり。
人の価値観や信じているものに揺さぶりをかけ、なかったことにしようとしてくる敵であったり。
10年(だったかな?)もの間、捕らえられ催眠魔法をかけ続けられていたキャラクターも然り。
そんなお話が、ハラハラする面白い冒険話として表現されていたので、信仰心についてもあまり懐疑的にならず斜に構えず、もう少し素直に読めた気がします。
今作では「アスランは何を象徴しているか」が今まで以上に直接的に描かれていました。
また現実世界で子供たちが通う学校のこととか、色々思うところもやはりあったにはあったのですが…
シリーズが書かれた時代、作者の信仰など、
現代とは違う価値観や、読み手である自分の信念とは違う考え方を学び、またそれについて考えるのも読書なのかな、と思えてきました。
むしろ、そんな出会いがなければ読書する意味合いが減ってしまいますものね。
自分の視野を広げたり、自分とは違う意見にも耳を傾けられるようになる、相手に共感できる心を持つ。
物語を通し、そんな手助けをしてくれるのが読書。
読書は私にとって娯楽ですが、ほんの少しでも自分の中にそんな変化が生まれるのなら、楽しみながら成長できるなんてこんなに素晴らしいことはないですよね。
ところで今作品を読んで思ったのは、西洋では「緑」がネガティブな印象で使われることが多いよな〜と言うこと。
ここで言う緑は、フォレストグリーンのような深みのある緑ではなく、ライムグリーンのような明るい緑。
ディズニー作品なんかでもヴィランズは緑色のオーラ纏っていたり、毒が緑だったり、ゴブリンやトロールのような怪物が緑色だったり。
西の魔女も緑ですし、英語には「green with envy(ネガティブな意味で、羨ましくて仕方ない)」と言う妬みや嫉妬を表す表現もあります。
日本だと、深い緑も明るい新緑も、生命力や瑞々しさに紐づけられることが多いと思うのですが。多少ネガティブな使い方があるとしたら、「未熟さ」程度かな?
色に対する受け止め方が文化にとって異なるのって面白いですよね。
『銀のいす』が思った以上に楽しく読めたので、もう少し『ナルニア』シリーズを読んでいきます!
Sep 2, 2022